アルバイトスタッフの○○君から現在提供中であり、Ratebeer.comで世界一となったストライセ醸造所のウルバインと僕との共同醸造である
八色Yairo -Eight Colors-の質問が来て質問に答えたのですが、みなさんにも説明が足りていなかったと思いますのでブログにも記載します。
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Q.
菅原さん。お疲れ様です。
お忙しい中失礼致します。
本日より○○店で『八色』を販売致します。
すごく美味しいビールでした。
お客様に魅力をしっかり説明できるよう…
8種類の原料とは?
ビールを作る上での特別な醸造方法を取り入れたのか?
『八色』には菅原さんのどのような思いが詰まっているのか?
以上の点を教えて下さればと思います。
新店オープンの折、大変にお忙しいとは思いますがお願い致します。
失礼致します。
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A.
お疲れさん。
八色 は副題がEight Colors の通り8種の原材料を使用していますが、
大麦麦芽、小麦麦芽と水、酵母、4種のホップ(すべてホールホップ)を使用しています。
樽の二次発酵用の糖はこの中に入れていません。味というよりも樽内発酵のために使用しているからで醸造時には使っていません。樽詰め前に再度糖と酵母を使用しています。
八色先生というのは俺に器械体操からいろんな事を教えてくれた恩師の中の恩師です。俺が人生で打ち込んだのは体操とビールしかないんですね。
毎時間体操部の器具を予算で買ってくれと先生の所に会いに行ってました。大好きだったんですね。先生も体操も。
いま思うと銀行にお金を借りたり、お店を出店したいと家主に伝えるのと似てる事をしていた気がします。
だけど卒業前に体操の事で意見が分かれてから卒業して一年後に学校で会って以来会っていませんでした。
2年程前にガンでなくなったのですがその数ヶ月前、中学高校の東京の卒業生が集まる会に先生がいらしてたみたいで電話が来ました。
「どうしても会いたいからちょっと来んか?」と言われたのだけどレゼルブでお客さんと会っていて断ってしまったんですね。
それから数ヶ月後に癌でなくなったのを知って、すぐに鹿児島のお通夜にかけつけたんですが、酒が大好きな先生となぜ飲みに行かなかったのか本当に後悔したんです。
今回ビールを醸造する時に初陣と別でもう一つの優しい味わいのホワイトビールと作ろうと思ったときに優しかった八色先生の事をちょうど思い出したんです。
それで8種の原材料を使う事にしました。ホップはペレットを使わずにすべてホールホップ(リーフ)を使う事にしました。なのでペレットと違いきつい苦みが少ないんです。その分タンニンも多いので
味に複雑さが増します。花びらのように感じるのはまさにホールホップのなせるわざです。
ホワイトでそこまでやってるビールってほぼ存在しないんです。あまりホップを使わないビールですしね。
ストライセの小さい900Lの設備なので糖化もホップの煮沸も直火で行ってます。
樽詰めもベルギーで俺がやってます。
先生がいるうちにビール作ってればなぁと後悔しても仕方ないので、事業を進める上で妥協をしないようにという後伸ばしにしたくないという自分への戒めでもあるビールです。
そういうわけでホワイトにないホールホップの滑らかで複雑な風味を楽しんでもらえればと思います。
まだ細かい質問があればいつでもどうぞ。
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ちなみに八色先生が生涯過ごした鹿児島のビールバー麦酒本舗さんにも八色の樽を送らせていただきました。いつ提供かはわかりませんが。