その5

前回のカラコル醸造所紹介1はディナンの町の紹介が主になっていたので、今回はカラコル醸造所について紹介していきます。

カラコル 醸造所ディナンの町の城壁から見えた丘を車で上っていくとカラコル醸造所が現れる。

カラコル醸造所といえば世界で唯一とも言われる薪火によるビール醸造を行う醸造所である。
薪もこの醸造所の近くから調達している。

この場所には元々1971年まで醸造所があり、現在のカラコル醸造所は1995年にこの所へ移転してきた。

カラコル 醸造所

このような車を見つけると醸造所に来たんだなと感じる。
カラコル 醸造所

この釜にてまず湯をわかして糖化釜に加えてインフュージョン法と呼ばれる糖化行程(麦芽のでんぷん質を糖化して二糖類に変えていく行程でビールの味わいを決める重要な行程)を行う。水をわかすだけでなく糖化の後に熱してホップの煮沸にもこの釜の一つを使う。糖化方法のインフュージョン法、デコクション法については別の機会で述べたいが、ベルギーでは私の見る限り、インフュージョン法がほとんど。ベルギーの場合はこの糖化行程に特色があるというよりもこの後に行うホップを加える際に直火にて熱を加える行程に特徴がある。このカラコル醸造所もそうだ。他にはデ・ランケ醸造所、ルル醸造所、デュポン醸造所など。
マイケル・ジャクソン氏も直火に関して彼の著書にも軽く触れて麦汁のキャラメライズが行われ、味わいに特色が出る事を述べている。
カラコル醸造所、ルル醸造所、デュポン醸造所に通じるワロン地方のビールに多い甘みはこの行程による部分もあるはずだ。デ・ランケ醸造所は生のホップを使用している事から直火を使っている事もあり少し理由が違う。少しマニアックな話になってきたのでここから先はお店で私を見つけたら聞いて欲しい。話を戻そう。

釜の下はこのように、この町の近くから調達した薪にて熱せられる。
カラコル 醸造所

糖化行程はこちらの釜にて行われる。糖化中に上部を解放するのもベルギーの昔からの醸造所ならではだ。これもブリュッセルから南の醸造所に多い(それほど多くもないのだが)。

カラコル 醸造所

あまり内部を一般の方には見せたがらないのであまり写真を載せない事にする。
発酵タンク、熟成タンクをこう見ると非常に大きく見えるが、非常に小さい醸造所だ。アメリカ等ではスタートアップですぐにこれくらいの醸造所が多い。
カラコル 醸造所

皆さんの飲まれているノストラダムスもこうして作られている。

通常は週末、夏には毎日醸造所併設のカフェがあり、彼らのビールを楽しむ事が出来る。
カラコル 醸造所

カフェにておみやげのビールを買う事も出来る。レジの横にはやはりかたつむり(カラコル)がお出迎え。
カラコル 醸造所
カラコル 醸造所

カラコル 醸造所
いちカラコル醸造所のファンとして、
醸造所にて彼らのビールを醸造家のトングレーといただくのが一番の楽しみでもある。

実は私が醸造家のトングレーに輸入したいと申し出て二年程は、自国、他国への輸出で精一杯で輸出する気がないと言っていたが、

あるとき、醸造所にて彼からいきなり輸入の話が始まり、下記のように友情の約束としてこの醸造所のシンボルでもある薪を一緒に釜に投入して今に至る。
カラコル 醸造所

さて、醸造所を出てディナンの町に戻って車ですぐにとある修道院がある。
レフ修道院だ。

現在は、ヒューガルデンなどのブランドも所有し、バドワイザーでさえ買収した現アンハイザーブッシュ・インベブ社の修道院ビールとして有名であるレフ修道院だが、実はこのディナンの町に存在する。私は特にこの修道院と関係もないので観光客気分で写真を撮る。

レフ修道院がライセンス生産としてレシピを通常の醸造所に預けたのは1952年である。実はセント・シクステュス修道院がセント・ベルナルデュス醸造所にレシピを預けたのは1946年ともっと古いのである。当初レフを醸造していた醸造所は1977年に当時のアルトワ社(現アンハイザーブッシュ・インベブ社)に買収されてレフのブランドは引き継がれた。

レフ 修道院

レフ 修道院

レフ 修道院

レフ 修道院

実はこの修道院を通るのには理由がある。ここからデュ・ボック醸造所付近の丘を車で走るのが非常に気持ちがいいのだ。フランダース地方の平坦な道からワロン地方はなだらかな丘陵地帯が増えていく。その典型的な場所でもある。

ベルギーやオランダは元々風車の国。風力発電も数多く見つける事が出来る。夏の季節はなんとも言えない最高の気分だ。

そしてデュ・ボック醸造所へ。
ここからまた長くなるので機会があれば紹介していきたい。
デュ ボック