いわて蔵ビール(世嬉の一酒造)の次は格之進さんの千葉さんが自ら経営するいわて門崎丑の牛舎へと向かう。
まず和牛の話からすると和牛と名乗れるのは
・黒毛和種
・褐毛和種
・日本短角種 (アメリカンショートホーン×和牛)
・無角和種
の4品種に加えてこれらの交配や交配種とこの4種との交配も和牛となる。
日本単角種(A3クラスまで)や無角和種はごく少量の生産となっており、格之進が育てる門崎牛はすべてが黒毛和種となる。
まずはこのいわて門崎丑の牛舎を見学させてもらった。この牛舎は元々畜産関係のコンサルを請け負っていた方が牛舎を開設したが理論どおりにうまく行かずに千葉さんの会社が引き継いだとの事。
餌などを餌やりの上部に入れ物を作って、餌やりをごく少人数で牛舎をまわす等の方法を以前の経営者はとっていたそうだ。
しかし、牛は生き物。千葉さん達は牛の日々の体調を見ながらの餌やりを行わなければよい肉質は作れないとの考えで日々牛達の様子を見ながら大切に育てている。
えさに関しても別の生産者達と別法人を作り特別にえさを作っているとの事だった。
ビール酵母が使われているとの事でここでも嗅ぎ慣れた香りが餌から感じられ、なんとなくうれしい気持ちにもなった。牛が夏ばてしないように扇風機も当てられていて、様々な所で牛に対する愛を感じる事となった。
そこから、もう一つの牛舎に連れていっていただいた。こちらは母牛とその母牛から生まれた子牛を育てる繁殖牛舎であった。
ここでも和牛生産の非常に大事な話を。
和牛農家は主に繁殖農家と肥育農家に分けられている。繁殖農家というのは、交配、そして母牛から子牛を生産してセリで要は子牛を肥育農家に販売して生計をたてている。肥育農家はセリで繁殖農家が育てた子牛を購入した後、肥育して30ヶ月齢程で出荷するわけだ。
門崎牛の千葉さんは旧来のやり方とは違う繁殖と肥育を同時に行う農家である。これも味わいのためだそうだ。母牛から子牛を生み育てる繁殖農家には子牛を高くうるために味わいというよりもいかに子牛を太らせるかを考える農家もあり、これは味わいとは目的が別の所にある。
この牛舎では、子牛を高く売る必要もなく、親と子をすぐに別の仕切りに分けて早く多くの餌を与えて無理に太らせたりする必要もない。それによって手間と効率は悪いが一貫して品質の高い和牛へ手間暇を与える事が出来る。そのための一貫生産である。
しかし、すべての子牛の繁殖を自社で行うのは種付け・出産・子牛の飼育・肥育、そして出棺までの時間が40ヶ月も掛かるためキャッシュのリスクが高い事(これはベルギービールのランビックやレッドビールにも非常に似ている)、子牛の病気などリスクなどにより、半分はセリで自分達の目指す品質の子牛を購入してリスクを抑えているという。(これも半年程の熟成と2,3年の熟成をブレンドするレッドビールやランビックと原理は似ていると感じた。)
説明を聞いていて千葉さんがいわて門崎丑にかける気持ちがひしひしと伝わってきたし、古城戸、菅原、金久保の3人だけでなくこれからも多くのスタッフをここに連れて来たいと強く思った。
一関地ビールフェスティバルではこのいわて門崎丑を使った様々な東北の食を味わう事が出来ます。25日には一頭解体バーベキューにて多くの部位を味わう事が出来ます。ぜひ生産者の千葉さんとも直接お話ください。