プロフィール
宗像 悟志 (むなかた さとし)
東京都目黒区出身。明海大学経済学部卒業後、葡萄酒房 allee(ビストロ)に就職。その後、ヤッファオーガニックカフェや碑文谷テラス(ウェディング)で料理人としての経験を積み、2017年6月EVERBREWに入社。リオ・ブルーイング・コー ビストロ&ガーデン(東京ミッドタウン)勤務から1ヶ月後、 料理長としてベル・オーブ豊洲店にて勤務。2019年11月より、デリリウムカフェ レゼルブ(赤坂)にて料理長を務める。
Contents
「EVERBREWに入社したきっかけを教えてください」
前職のオーガニックレストランを退職して新しい仕事を探していた時、何か一つ「掲げるもの」を持っているところで働きたいなと思っていたんです。世の中、安くて美味しいお店は沢山ありますが、それって商売として短絡的だなと思って。そんな時にベルギービールを扱っているEVERBREWを見つけました。調べてみたら、ベルギービールはとても伝統的なものということが分かって興味が沸きまして。日本人が日本にいると色んな文化が入っていて、ベルギービールを飲めることも当然のように思ってしまうんですが、逆に考えるとすごいことだなと。例えば、ベルギーの首都ブリュッセルでベルギー人が日本酒バーを十数店舗やっているとしたら大変なことです。社長の菅原さんもプロフィールを見たら同い年で。それで面接を受けてみようと思いました。転職活動で何社かと話しているうちにベルギービールという商品の強さ、商売の根っこに伝統文化があるというのに惹かれてそれが入社のきっかけになりました。
「仕事の面白い部分、難しい部分を教えてください」
料理人というのは職人なので、料理を探求し続けていく仕事ですよね。作ったことのない料理だったり、使ったことのない食材だったりがあるので、常に試作を重ねて新しい一皿を作ります。でも、自分が納得するものはなかなかそう簡単には出来ない。ただ、繰り返し繰り返しやっていくと、いつか必ず自分が合格点が出せる料理が出来るんです。料理長という立場でやっていますが、パティシエなど自分の専門外の仲間がいれば、僕の知らない知識を持っていて違うアプローチから意見をくれます。みんなで力を合わせて一つの料理を作り上げる時が、この仕事をしていて一番かけがえのない瞬間です。これってそういう環境を用意してくれている会社じゃないと出来ないことだと思うので、EVERBREWには料理人にとって有難い環境を用意してもらい感謝していますね。難しい部分は…強いて言うなら、やっと自分が納得したものが出来ても必ずしもお客様にうける訳ではないということですかね 。オススメに入れてみてもなかなかオーダーが頂けなかったり(笑)
「お客様(仲間)との忘れられないエピソードはありますか?」
EVERBREWでの話ではないんですが、オーガニックレストランで働きだした頃から十数年来僕のファンでいてくれるご夫婦がいたんです。お店を変わっても遊びに来てくださって。ある時、新店の立ち上げや人手不足など悪い要素が重なってしまって、なかなか休みも取れず疲れている状態で仕事をしていた時期があったんです。そんな時に、そのご夫婦がいつものようにふらっと遊びに来てくださったんですが、とにかくその日はうけが悪くて。いつも美味しいね、と言ってくれる人が何も言ってくれず、そしてこっちにもしっかり心当たりがある。疲れているのを言い訳に手を抜いていたんですね。その時に感じた恥ずかしい思いや、冷や汗を握るような気持ちは二度と味わいたくないと思いました。オープンキッチンだったので特に気まずかったですね(苦笑)。常に全力で料理に向き合うということを、情けないですがお客様から教えて頂きました。開店までに万全の準備をして挑まなければと思いましたね。
「これから挑戦してみたい仕事は何ですか?」
オーガニックレストランで働いていた時に、畑を借りて野菜作りを始めたんです。実際やってみるとプロの農家さんってすごいなと思って。ビールの醸造においても同様ですよね。その経験から、専門家と密な交流をして、例えばこの醸造所とこの農家の商材だけでディナーを作る、みたいなコラボのようなことをやってみたいと思いました。あとは、うちは自社ビールを造っているし、僕も野菜を作っているから、それを組み合わせるという前提で、野菜の肥料にビールのカスを混ぜてみたり、ビールにホップの代わりに野菜の煎汁を入れてみたりしたら面白いんじゃないかと。ただ商材を使うのではなくて、色んな分野の専門家と話すことで料理人の気付かない考え方を発見出来るかもしれませんし、そうすることによって自分の力以上のものが作れると思っています。
「プライベートはどのように過ごしていますか?」
茶道を始めて5年になるので、休日はお茶を点てていることが多いですね。着物を着て稽古場に行ったりしています。自分の中でずっと「伝統文化」というものが気になっていて、大人になったら何か日本の「道」がつくものを身に付けたいなと思っていたんです。茶道の世界では、お茶だけでなく花を生けたり、歌を詠んだりすることもあるので、嗜みとしてその辺りもコンプリートしていきたいです。イノベーションと言われるものも、全ては伝統に基づいていると思っています。現在・未来は過去から繋がっている訳ですので、僕らは過去を知らないといけない。そういう意味でも伝統文化には今後も触れていきたいですね。