その8


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ブラウンビール

■ブラウンエールとは・
東フランダース州という地域で造られている赤褐色~茶褐色のビールを言います。
ブラウンビール(エール)というとイギリスの茶色のビールを連想されると思いますが、これはベルギービールの中のみの特殊な分類となり、味わいはまったく異質の物となります。
金属タンクでの数ヶ月の熟成により、酸味とフルーティーな味わいが特徴の伝統的なビールです。
西フランダース州がレッドビールを多く生産するのに対し、東フランダース州ではブラウンエールが醸造されています。

■ブラウンビールの代表「リーフマンス醸造所」
ブラウンビールではリーフマンス醸造所が最も知られています。
1679年にはすでに存在していたと言われる古い醸造所です。(私の生まれる丁度300年も前!!)現在はリヴァ醸造所の所有となり、デスプレンテル一家が経営しています。

レッドビールで有名なローデンバッハ醸造所から種を譲り受け10年間培養し続けた自家製の酵母を使っていますが、醸造所側はほんの少量の酵母を与える以外は自然発酵による物と言っています。そのため、麦汁はリヴァ醸造所にて作られますが、発酵は麦汁をリーフマンス醸造所まで運び、自然発酵させています。自然発酵を行っている釜はランビックで知られるカンティヨン醸造所と同じように釜の上が解放されており、あたりはビールの醸造所とは思えないバナナのようなやわらかく、フローラルな香りに満ちており、すばらしいベルギービールの誕生を予感させます。

リーフマンス醸造所の発酵釜

名品「グーデンバンド」は
別のビールと「オード・ブラウン」をブレンドし、さらに酵母と発酵のための砂糖を加えられます。
ボトルに詰めたあと貯蔵室で最低3ヶ月~6ヶ月熟成させます。
出荷後も賞味期限は10年。これはEUの決まりですので20年は味わいが変化するとも言われています。

■数少ないブラウンビール
ブラウンビールは近年ブランドも少なくなって来ています。
オーデナールドOudenaardeの町にあるリーフマンス醸造所、ロマン醸造所の両醸造所が知られる所です。
Clarysse醸造所(Felix Oud Bruin等)は近年廃業してしまい、Felix Oud Bruin等の銘柄は
レッドビールのDuchesse de Bourgogneで知られるヴェルハーゲ醸造所がブランドを引き継ぎ醸造しています。
オーデナールドの水がビールに特別な影響を与えるのではないかとマイケルジャクソン氏の本には書かれており、多くの人がそう信じているようですが、
現在、リーフマンス・グーデンバンドやオード・ブラウンの麦汁はリヴァ醸造所(デンテルへム)で作られていますし、フェリックスの銘柄は先程述べたようにヴェルハーゲ醸造所での醸造になりました。ブラウンビール自体も醸造所の統合や廃業により品質に変化も生じる事もいたしかたないと思われます。

■レッドビールとブラウンビール
ここで分類上の問題となるのが、ブラウンビールとレッドビールの分類です。
簡単に言えば、
「レッドビール」はオーク樽等で寝かせて作られる西フランダース州で作られる酸味の強いビール 代表的ブランドはローデンバッハやヴィクトナール等
「ブラウンビール」は金属タンクでの数ヶ月の熟成により、酸味とフルーティーな味わいが特徴の伝統的なビール 代表的ブランドはリーフマンス オード・ブラウンやグーデンバンド等

ここで決定的に違う所は
1、オーク樽で寝かせるのか、金属タンクで寝かせるのか
2、西フランダース州で作られるのか東フランダース州で醸造されるか

しかし、ビオス・ブラームス・ブルゴーニュ(ヴァン・スティーンベルゲ醸造所)に関していえば、レッドビールと言われているものの、東フランダース州で作られ、金属タンクで寝かせているという事でこの分け方だとブラウンエールとなります。それでもレッドビールと言われるのは酸味の強い辛口なビールだからと言う事でしょう。

結局ですが、レッドビールとブラウンビールは兄弟のようなものです。両方、熟成期間が長い事などの共通点を考えると完全に分けきれるものではありません。
またOud Bruinという表示がラベルにあってもブラウンビールであるとは限りません。レッドビールにもこの表記があります。例 Petrus Oud Bruin等

ただし、これ以上ブラウンビールが減ると分類が一緒になるかもしれません。
なのでみなさんこんなにすばらしいブラウンビールをたくさん飲みましょう。

ベル・オーブでは
リーフマンス オード・ブラウン
リーフマンス グーデンバンドの樽生、ボトルビールを提供しています。ぜひお試し下さい。