ニノが現れ、早速 再開の握手。
しばらく、ベルナルドや我々と座りながらベルギービール談義の後、
いつもの醸造所の案内が始まった。
今日はF城戸のための説明だよ。とニノは言った。
まず最初は麦芽の粉砕機の前にて
様々な麦芽が製麦されるヨーロッバでは
麦芽の色にEBCという単位が付けられる。
一般的にピルスナー用には3EBC,ペールモルトは9EBC,
通常の小麦は4EBC,色の濃い300EBC等もある。
まずここで麦芽が粉砕され、準備される。
粉砕された700-900kgの麦芽には3500Lの湯水を加える。
最初の糖化工程の際は直接、釜をボイリングせず、もう一つのボイリング機能のある釜からの温度の高い湯で全体の温度を調整する。
そこから釜を変え、100℃まで温め、
最初のビタリングホップ(苦みのためのホップ)を使用。
投入して一時間後にアロマホップを投入する。
アロマホップのアロマがなくなっては意味がないため、これは15分程だけ。
多くの醸造所では、釜の掃除が大変な事や味の安定のためホップエキストラクト(苦み部分の濃縮)が使用されるが、ニノはベルギーの生のポペリンゲ産ホップを使用している。
ホップは保温室にて保管され、そのドアを開けた瞬間ホップの華やかな香りでうっとりしてしまう程。ホップの中にある黄色の苦み成分以外に身の中のタンニンがイクス・イクスビターやグーデンベルグには必要なんだと彼は力説する。なので年間を通して同じ味わいを出す事は難しい。お米と同じなのです。ポペリンゲでホップが収穫されるのはこの後すぐ。それから醸造されるイクス・イクスやグーデンベルグは最高となるわけである。
20℃付近までその後、クールダウン。それは次に投入する上面発酵酵母が活動する温度帯に近づけるためだ。
一次発酵タンクは6000Lの容量。
しかし、4000Lしか満たさない。それはデカ醸造所にて使用していたオープンファーメンテーション(開放の釜にて発酵)と同じ効果を出すためである。
通常、発酵タンクには発酵の進み具合を確認できるよう、中の圧力が上がりすぎないよう二酸化炭素の抜けるパイブがある。そこに鼻を近づけると鼻がもげる程で我慢もできない。しかし、ここだけは違うのだ、すでにすばらしいアロマティッくな香りが出ており、鼻を近づける事ができる。それは来る度にこういう方法もあるのかと驚くのである。しかも、発酵タンクは(通常は下が逆三角)平面。これは重力で沈んでくる酵母とビールの接する面積を増やすためだそう。
この過程をおえてすでに中身はビールとなっている。俗にいう"Green Beer"である。
そこからラガーリングタンク(英 コンディショニングタンク)へとビールは移動。二週間、このタンクにて約15℃で熟成される。通常この行程は人工的に温度調整されるが、この醸造所は温度調整していないよう。この部屋が地下にあるのはこのためではないだろうか。この過程は短い方。なぜならこの醸造所のビールはフレッシュなビールで、高アルコールビールに比べるとそれほどの長い時間は必要としない。
セント・ベルナルデュスのアブトは8週間もこの過程を要する。
グーデンベルグはドライホッピング(発酵過程等でホップを漬け込む工程)なのでこのタンクにさらにアロマホップが投入され、さらなるアロマをつくり出す。実は彼らはこのラガーリング中に二次発酵が行われると言っている。
そして、ボトリング、樽詰めが行われ、瓶内三次発酵が始まる。
ベルギーの醸造所へ行けばどこでも見る事ができる。三次発酵用の25℃付近で管理されている倉庫の中で出荷を待つ事となる。
さて、この中にこの醸造所では樽を見る事ができる。そう、この醸造所の樽生はベルギーでもここだけの樽内三次発酵なのだ。
(めずらしい樽内二次発酵はヴァン・スティーンベルグ醸造所のセリス・ホワイト等もそうです。)
こうして彼らの情熱が日本まで出荷される事となる。
ぜひ彼の醸造するイクス・イクスビターやグーデンベルグを皆さんに飲んでいただきたいと思っている。
これほどホップのすばらしさを表現したビールはなかなかない(これでも謙遜)。飲めばわかっていただけると思うのです。
日本の技術も役立っている? 麦汁濃度を調べる糖度計。
一番、醸造所でみかける日本の技術はKOMATSUのフォークリフト!!
ここは使っていたか忘れましたが、Br.VanSteenbergeやBr.St.Bernardusでは使用しています。他も次回チェックして来ますね。