その5

前回までお読みの方はわかると思いますが、そうでない方のために説明すると、

これまで素晴らしいベルギービールを日本にて紹介し、お客様と醸造家をつないできた私達だが、醸造家と仲を深めるにつれて醸造家と共にビールを醸造する事が増えてきた。

現在、デリリウムカフェ両店にて提供しているシックス・ウィート Batch Rio樽生をすでに提供しているし、7月にもジャンデラン醸造所にて醸造を行ってきたのでそれらの工程を紹介したいと思う。

まずは麦芽を粉砕して、ビールの味わいを左右する非常に大事な工程である糖化を行っていく。酵母が分解できるように、麦芽のデンプンを二糖類に変えていく工程である。
麦ではなく、麦芽である必要があり、それは麦芽にする事によってアミラーゼが発生するから。
※具体的なレシピはここでは伏せておきます。

一般的には60℃~70℃にて糖化を行っていく。

さて、糖化に時間がかかるので、その時間を使ってアレックスの家の裏でとれる卵で朝ご飯。
まさに農家が喉を潤すために作られたというセゾンビールの醸造所だね 笑

といってもずっと放置しておくのではなくて交代で糖化の状況を確認に行く。

家族で朝は目玉焼き。7月1日なので今日から子供達は夏休み!!幸せそうだ。

犬のティトンも起きてきた。

糖化は温度を変えながら行うのだが、その時間と温度によって糖化して生まれる二糖類の量や種類が変わるため失敗するとビールの味わいに決定的な違いを生んでしまう工程なので気をつかう。

糖化が終了するととなりのタンクに糖化した麦汁から麦芽を濾して移していく。
同時に糖化の温度からホップを入れるために100℃に熱していく。

その後、ビタリングのホップ(苦み)を加えていく。
ビタリングとアロマホップの種類は決して違う種類のホップでないかと言われるとそうではない、ビタリングというのは、じっくり熱する事でホップの苦みを取り出す。
ちなみにグーデンベルグはビタリング、アロマ、ドライホッピングすべてにベルギー、ポペリンゲ産ハラタウ種を使う。

ホップを加えた後は時間がかかるので、残った麦芽を取り出して糖化釜の洗浄を行う。
この麦芽は近くの家畜農場にもっていく。飼料となるわけだ。

そしてアロマホップを投入する。
ビタリングと逆でアロマホップはアロマが飛ばないように非常に短時間しか熱さない。
なのですぐに発酵タンクへの移動と酵母投入のための冷却の準備、
(上面発酵(エール)はだいたい25℃前後での活動なので冷却はこの温度に冷却しなければいけないという事。)

そして、酵母の準備を行わなければいけない。

発酵タンクに移している麦汁の温度の確認を確認し終わったら、発酵タンクに酵母を加えて今日は終了。

後は掃除となる。

その頃、ジャンデランのもう1人のメンバーであるステファンが登場。
さっそく、熟成タンクから様々なビールを取り出し、飲ませてくれた。
何かは内緒なので写真だけでも。。

さて、本日の醸造作業が終わり、昼食となった。
今日はアレックスが日本食の料理本を取り出して家庭料理を作ってくれるという。
料理本は日本の料理研究家のものだった。
家には醤油からみりん、オイスターソースに料理用に月桂冠まであって正直びっくりした。
娘と一緒に合気道を始めたところを見ても相当、日本に興味を持ち始めたのは明らかだ。

なんかうれしくなってきた。牛肉と野菜を生姜焼きのようにしてくれたのだが、味も素晴らしく日本の家庭料理が恋しい私が相当食べてしまったので、
二人に残りのゴハンで卵かけごはんを教えてあげた。二人とも本当に楽しそうだ。

そして、僕の荷物がすでにビール30本程になって重すぎて大変な事になっていたので
みんなで試飲する事にした。(デリリウムカフェODA君でいう、それは素敵☆お仕事)

醸造家と彼らが作っている以外のビールを一緒に何気兼ねなく飲み、コメント出来るようになるというのは
関係が出来ている証拠でもある。それによって僕がビールというものをどのように考えているか、ここで価値観が合わないとここまで仲良くなる事は出来ないだろう。

飲んでいるだけなのだが、これも結局は大事な仕事の一つなのだ。
その間にさらなる次への展開としてのお互いの話があり、これからみなさんにも次々と発表していけると思う。
(と偉そうに書いているが、ただ飲んだくれて楽しい話をしている3人で、日本でも居酒屋でこういう光景を見つける事ができるはずだ。)

これからもこの円を大事にして事業を行っていきたいと考えている。